2023.02.19
1 結論
アンダーローン不動産(住宅ローン残高より不動産評価額が大きい場合)がある場合には、個人再生による債務減額効果が小さくなる場合があります。
2 理由
個人再生は、住宅ローンと自宅を残したまま、住宅ローン以外の債務を大幅に減額できることが最大のメリットです。
しかし、個人再生手続では「清算価値保障原則」があるので、大きな財産を持っている場合には、個人再生をしても返済額はそれほど減らせない場合があります。
なお、「清算価値保障原則」とは、「個人再生による総返済額」が「再生債務者の全財産額」以上の金額でなければならない、というルールです。
3 具体例
たとえば、
・住宅ローン以外の負債額 1000万円
・住宅ローン残高 2000万円
・自宅評価額 3000万円
・自宅以外に大きな財産は無い
という方が、個人再生を利用する場合を想定してみます。
この場合、自宅評価額3000万円・住宅ローン残高2000万円ですから、住宅ローン残高より自宅評価額が1000万円も大きく、1000万円のアンダーローンになっています。
そして、このような場合、自宅について1000万円の財産を保有していることになります。
そうすると、清算価値保障原則により総返済額は1000万円以上(全財産の額以上)になりますから、個人再生を利用しても住宅ローン以外の債務が全然減らないという結論になります。
4 まとめ
このように、自宅がアンダーローンの場合、個人再生をしても債務が減らない又は減額幅が小さくなってしまう場合があります。
個人再生をするとどの程度借金を減らせるのか判定するためには、
■住宅ローンの残高
■自宅の評価額
が必要になります。
■住宅ローンの残高は、「住宅ローンの返済予定表」見ればわかります。
■自宅の評価額は、「不動産業者の簡易査定書」(できれば2社以上)でわかります。
このため、アンダーローンの自宅を持つ方が個人再生を検討する場合には、「住宅ローンの返済予定表」と「不動産業者の簡易査定書」(できれば2社以上)を用意してから弁護士に相談すると、より有用なアドバイスを受けられることが期待できます。
(執筆者:弁護士飯島努)
(掲載日 2023/02/19)